私たちは今、時代の大きな転換点に立っています。新型コロナウイルス感染症や国際情勢の激変による物価高騰、また中長期的には、気候変動とそれに伴う災害の激甚化・頻発化、急激な少子化・人口減少とそれに伴う産業や地域の担い手不足などの様々な危機が、現在、複合的に押し寄せています。こうした危機を克服し、県民の皆様が明日への希望と安心感を持って日々の生活を送ることができるよう「確かな暮らし」を守り抜くことが急務です。また、社会の成熟やグローバル化、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする技術革新の急速な進展に加えて、コロナ禍などを契機として人々の価値観やライフスタイルにも大きな変化が生じています。こうした変化が急激で先を見通すことが難しいVUCA(ブーカ)とも呼ばれる時代の中で、私たちは、環境と社会、経済が調和的に発展するとともに、人権や多様性が尊重され、誰もがその能力を十分に発揮できる、本当の意味で「ゆたかな社会」を築いていなかければなりません。そのためには、従来の常識にとらわれることなく、ありたい社会の姿を見据えて、新しい発想で社会経済システムを大胆に変革していく必要があります。“地球の未来がどうなるか、それは私たち皆に関係のあることだ。だから私たち全員が、それを守るためにできることをやらなければならない”と、アフリカ人女性初のノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんは自伝(『UNBOWED へこたれない』)の中で述べています。マータイさんの活動は、環境保護にとどまらず、女性の社会進出や平和への貢献などにも広がり、新しい社会の構築につながっていきました。私たちも、今こそ、行動を起こす時です。しあわせ信州創造プラン3.0(長野県総合5か年計画)で掲げた「ゆたかな社会」の実現に向け、県民の皆様の力を結集して、新しい時代を、ここ信州から共に創っていきましょう。令和5年(2023年)3月 長野県知事 大変革への挑戦 「ゆたかな社会」を実現するために
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