計画書(全体版)
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第1編現状と課題第1章 長野県を取り巻く状況5令和元年東日本台風で決壊した堤防3 気候変動への対応や持続可能な社会の実現に向けた動き世界各地での豪雨や猛暑など、地球温暖化に起因するとされる気候変動の影響を背景に、世界各国で2050年までの温室効果ガス実質ゼロを目指す動きが加速しています。各国でガソリン車の販売規制といった規制強化が進むほか、サプライチェーン全体での脱炭素化の動きが強まるなど、企業は対応を迫られています。4 自然災害や感染症などの脅威5 激変する国際情勢長野県では都道府県として初めて「気候非常事態宣言」を行い、2050年のゼロカーボンを決意しました。国も2050年カーボンニュートラルを宣言し、経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させるグリーントランスフォーメーション(GX*)を推進するなど、国を挙げて脱炭素社会の実現に取り組んでいく方針を示しています。また、2015年に国連サミットで採択されたSDGs*(持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指す国際目標として世界各国で達成に向けた行動が進むほか、ESG*投資の拡大を背景に、企業活動における環境対策や人権尊重の重要性が一層高まっています。持続可能な社会の実現に向けて、県民・企業・行政などあらゆる主体とのパートナーシップで取組を進めることが必要です。近年、大規模な豪雨災害や土砂災害が全国的に多発しており、本県でも令和元年東日本台風が大きな被害をもたらしました。こうした激甚化・頻発化する豪雨災害に加え、今後発生が予測される南海トラフ等の巨大地震など、大規模災害の脅威がこれまで以上に高まっています。加えて、高度経済成長期に数多く整備された公共インフラの急速な老朽化が見込まれ、維持管理・更新が大きな課題となっています。今後の災害に備え、ハード・ソフト両面から対策の強化が必要です。2019年12月に初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界的な大流行となり、感染者の増加による医療提供体制のひっ迫に加え、人やモノの移動制限等により社会経済活動に甚大な影響をもたらしました。今後起こりうる新興感染症等のまん延に備え、これまでの教訓を生かし必要な対応を機動的に講じられる体制整備が必要です。グローバル化やデジタル技術の進展に伴いサプライチェーンが発達し、世界経済は相互依存関係を深めながら発展を続けてきました。一方、近年ではグローバル化に逆行する動きとして、米国や欧州など世界各国における保護主義的な動きの強まりがみられています。また、国際社会での日本の経済的地位が長期的に低下してきており、一人当たり名目GDPは2000年の2位から2021年の27位に、一人当たり賃金は主要先進国では増加する一方、我が国では過去30年にわたり概ね横ばいにとどまっています。こうした中で新型コロナウイルス感染症は、外国人観光客の激減といった需要の消失に加え、サプライチェーンの寸断など新たなリスクを顕在化させました。加えて2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、国際情勢の緊張が一層高まるととともに、エネルギーや食料などの輸入資源価格が急激に高騰し、重要物資の安定供給における脅威となっています。こうした変化に対応するため、国における外交・安全保障や経済安全保障の強化に合わせて、生産の国内回帰や調達先の分散といったサプライチェーンの強■化や食料の安定確保に加え、今後回復が期待される訪日外国人観光客の取り込みなどを進めていくことが必要です。

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