第1編現状と課題第1章 長野県を取り巻く状況1 少子化と人口減少の急速な進行我が国の出生数は急速に減少しており、2015年に100.6万人であった年間出生数は、2022年には80万人を下回る見込みで、国の将来推計1より8年早いペースで少子化が進行し、深刻さを増す一方、世界に先行して急速に高齢化が進展し、65歳以上人口の割合は世界で最も高くなっています。41 日本の将来推計人口(2017.1)(国立社会保障・人口問題研究所)2 東京一極集中から地方分散への動き第1章 長野県を取り巻く状況計画の策定に当たり、「しあわせ信州創造プラン2.0(2018年度〜2022年度)」策定後に生じた様々な社会・経済情勢の変化や新たな課題に的確に対応していくため、長野県を取り巻く状況や長野県人口の推移と将来展望、長野県の特性、これまでの取組の成果を県民と共有します。少子化と人口減少の急速な進行、地球規模の気候変動とこれに伴う災害の激甚化・頻発化、新型コロナウイルス感染症による暮らしや経済への影響、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした激変する国際情勢など、様々な危機が複合的に訪れており、変化が急激で先を見通すことが難しい「VUCA*の時代」とも言われています。一方、デジタル技術の活用による社会変革、SDGs*(持続可能な開発目標)など持続可能な社会の実現を目指す機運の高まり、地方回帰の動きなど、未来に向けた前向きな変化もみられています。本県の出生数は2007年以降減少が続き、2021年は12,514人と過去最少を更新しており、20年前と比較すると約4割減少するなど少子化に歯止めがかかっていません。総人口は2000年の221.5万人をピークに減少が続き、2022年には202.1万人となっています。総人口が急速に減少する中、本県の65歳以上人口の割合は2022年に32.8%となり超高齢社会となっています。また、2025年には団塊の世代が全員75歳以上となることから、高齢化が一層進行する見込みです。人口減少の進行に伴い、医療・福祉、農林業をはじめ各産業分野における担い手不足、利用者減少等による地域公共交通の維持困難、社会保障制度の持続可能性低下など様々な課題が深刻化することが懸念されます。地域社会の持続的な発展に向け、少子化に歯止めをかける取組とともに人口減少下にあっても活力を維持・向上するための取組が必要です。東京圏への転入超過の傾向は継続しており、東京一極集中の是正には至っていないものの、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、テレワークが急速に普及したことや大都市への過度な集中のリスクが再認識されたことから、地方で暮らすことへの関心の高まりや、首都圏企業の地方移転の動きがみられるようになっています。長野県の人口移動をみると、2001年以降は転出超過が続いていましたが、地方回帰の流れを背景に2020年から転出の超過幅が大幅に縮小し、2022年には22年ぶりの社会増となりました。一方、依然として20代前半を中心とした若者の転出超過が大きく、特に同年代の女性の転出超過が目立っています。移住や二地域居住*等の推進、企業の県内立地の促進などにより、地方回帰の流れを確かなものにしていくことが必要です。
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